男を上げる研究所

「男を上げる」というキーワードを研究対象とし、「理想の男」を目指して未来を拓く事を目的とした研究所

「ボクたちはみんな大人になれなかった」読了

巷で話題の小説をネット通販で手に入れ、読んでみた。

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「ボクたちはみんな大人になれなかった」

燃え殻

amzn.to

 

全体的に物悲しいけど、自分の年代と作品内の回顧時代設定(1999年前後)が思いっきりカブっていたため、感情移入と時代没入が心地よかった。ちょうど自分が20歳前後の時だ。一応某大学へなんとか滑り込み、授業なんてろくに出ずにクラブ活動の事と女の事しか頭になかった時代だ。

 

主人公はアルバイト雑誌の文通欄を通じて知り合った「ブス」な彼女と出会い、青春を彼女と共に過ごしていく。互いに性体験も初めての相手となった。

 

そこから主人公は彼女との交際と、主体性なくアルバイトをし、そして何となく就職して年齢を重ねていく。

 

小説なので詳しい内容は本作に任せるとして、作品を読みながら自分が思い出したのは、20歳の頃に付き合っていた彼女、Yちゃんだった。

 

そんなに美人ではないけど、自分自身は可愛いと思っていた。初体験はYちゃんと出会う前に済ませていたけど、彼女の初めての相手は自分だった。特にそこには何の感傷もないけど。

 

自分自身の今でも悪いトコなのだけれど、一度体の関係を持ってしまうとどうしても感情移入してしまう。当時の自分もそうだった。大して可愛くもない彼女だったけど、天然で愛嬌もあり、充分好きだった。どんどん好きになっていった。

 

今のように、やれ恋愛工学だの、ナンパだの、非モテコミットは悪だの、そんな恋愛テクノロジーは当時全く知らなかったので、フリーにセックスできるのは彼女ただ一人。もちろん結果はセックス不足からくる非モテコミット。付き合うきっかけは彼女が告白してくれた事からだったので、心の何処かで「自分が振られることなんてないな」とタカをくくっていたのは正直に言おう。

 

随分わがままで横柄な彼氏だったと思う。3年ほど付き合ったかな。その間、私が語学留学のため半年ほどアメリカへホームステイしてたので、その間は遠距離恋愛

 

帰国してほどなくして別れは訪れた。そう、もちろん振られた。

 

一応彼女は別れを告げる時に涙を流してはいたけど、でも「好きな人が出来た」といっていたその男は、同じコミュニティの男だった。なんともまぁ惨めな結末だと、今でも思い出すたび苦笑いが止まらない。今思えばあれが大人の階段1段目だったのかもしれない。

 

今現在、そのYちゃんはどうしているのか皆目見当もつかない。

 

SNSで一切Yちゃんとはつながっていないので、知りようがない。風のうわさでは元々フランスに憧れがあって(当時からフランス語学校に自分の意思で通っていた)、フランス人と結婚したらしい。私と同じように今現在ささやかな幸せを感じていればそれでいい。(向こうにとっちゃ余計なお世話だろうけど)

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作中で1999年を描写する箇所が出て来るのだけれど、そこを読むと当時の事が断片的に映像で脳内に再生されたのが印象的だった。

 

1999年、ちょうどノストラダムスの大予言により地球が滅亡するかどうかマスメディアを賑わしていた頃だ。この予言を初めて見た小学生の時、怖くて泣いたのを覚えている。両親や兄弟もみんな死んでお別れなんて悲しいし、そもそも死ぬのが怖かった。

 

でも、1999年の7月をあっさり過ぎると、世間はなにもなかったかのようにノストラダムスもあっさり過去の箱に入れた。

 

そうやって大人になるんだろうな、と思う。

 

過去の恋人や思い出、若かりし頃のがむしゃらさや勢い、そして失敗。無駄に時間を過ごしていることに気が付かず、年を重ねて初めてその無駄にした時間を惜しむ。

 

それでも日々の生活は止まらないし、過去の恋人にも現在があるし、自分にも現在がある。そのあたりとうまく折り合いをつけながら、たまにふとノスタルジックをつまみに好きな酒を飲むのが人生なのかな。

 

バック・トゥ・ザ・フューチャーデロリアンがあったら、自分は西暦何年何月何日何時何分に戻りたいのだろう。作品内のように、昔の彼女と過ごしていた時期に戻りたいとは思わない、決して。

 

ということは、あの頃よりは今の自分は大人なんだな。

 

文章表現が秀逸で、登場人物の会話の内容や「間」もとても素晴らしかった。一読の価値ありなので、ぜひ読んでみてはいかがだろう。

 

おわり